今日の趣向はいつもと違いました。落語はあるのだが、いや鳳樂師匠だから最高水準の落語です。
そしてその前に新内、舞踊、小唄、殺陣、これも見るとその道の第一人者を呼んできているようです。
ともあれこのチケット、半年前に購入したのでした。日暮里の独演会の時です。
その時に今日のプロデューサーで自らも出演している、尾上菊春之さんが受付カウンターで販売していたのでした。それ以降も菊春之さんは毎回鳳樂師匠の独演会に来ていました。
今日は主催もいつもの独演会の主催者ではなく、睦の会となっていました。したがって今日はいつもの追っかけマンのF氏はゆっくりと観ることができたようです。余計なお節介かな。。。。
二番太鼓が鳴り響いてまもなく開演。会場が真っ暗になって幕が開き、そこには尾上菊春之さんが立っていました。そして向かって右側は新内小唄のふじ松加奈子さんとその社中。
演目は『夢の柳橋』菊春之さんの役は柳橋の芸者の菊丸。そして恋をしている。その相手が何と、落語の『百年目』に出てくる番頭の治兵衛さんとのことです。
いやあ菊春之さんの芸者姿、そしてその踊りの何と可憐なこと。。。
続いて新内小唄二席目『かっぽれ』で、今度は尾上雍之さんの踊り。この人は尾上菊五郎を家元とする日本舞踊尾上流の師範だそうです。
かっぽれと言っても、いつも寄席の踊りとして見る汗の匂いのするかっぽれとはずいぶん雰囲気が違う。ずいぶん華麗なかっぽれですね。
さらに続いて新内小唄『江戸は隅田』。ふじ松社中の3人で、唄っていたのがふじ松美鶴さんでした。そして隣で家元の加奈子さんと社中の美はるさんが三味線のつま弾きをしながら、微妙な合いの手を入れていました。この合いの手がうまく入ると、とても気持ちよく唄えるとの事です。
そこで舞台転換のための5分の休憩が入り、今度は殺陣の競演。青獅子剣友会の3人、小仁所伴紀さん、酒見岳彦さん、古舘一也さんが、入れ替わり立ち代わり主役と敵役を交代しながら演じていました。
普段から鍛え上げたシャープな動きが見せ処でした。
ここで1回目の仲入り。そして第二部の幕開けで、舞踊『常磐津・もやい船』で再び芸者菊丸に扮した菊春之さんの登場。
隅田川の流れの太鼓と舞台にはもやい舟。筋書きは前の続きで、恋した治兵衛さんはちっとも来てくれない。
その後再び舞踊で、『長唄・老松』。この唄の中には亡き古今亭志ん朝師が出囃子に用いていた小節も出てくるのです。確かに聞き覚えのある節が流れていました。でも生演奏ではなく録音だったようですが。
踊っていたのは尾上雍之さんでした。
その立ち姿、そして動きが実に凛々しいではありませんか。
そして2回目の仲入りがあって、第三部です。
今度は新内小唄『らん蝶』『たぬき』。唄うのはふじ松加奈子さん。糸、ふじ松美鶴さん、上調子、ふじ松美はるさん。
ここで加奈子さんが新内について解説をしてくれました。
演目の『らん蝶』は、もともとは2時間ものの長唄なのを、先代家元の富士松亀三郎師が親しみやすくするよう短く再構成したものだそうです。
そこで聞き覚えのある節が出てきました。そうです柳家紫文師匠がいつも長谷川平蔵を始める前に使っているものです。
以前から気になっていたのだが、原本はここにあったのかと納得。謎が一つ解けました。
そして『たぬき』は加奈子さんご自身の作曲だそうです。
それにしてもふじ松加奈子さんは、トークの脈絡からずいぶんのお歳と思われるのだが、何とも艶っぽいのです。すっかり引き込まれてしまいました。
そして最後が三遊亭鳳樂師匠の『文七元結』です。長い人情噺です。
このような噺こそ、鳳樂師匠の持ち味を充分堪能できるものですね。そして今日の趣向ともしっかりとつながっています。
マクラで噺家の居住地の町名でのかけ声の話し。先代桂文楽は「黒門町」、三遊亭圓生は「柏木」、古今亭志ん生は「日暮里」。
確か鳳樂師匠は駒込だったはず。よっぽど「よっ、駒込!」とやってやろうかと思ったのだが、そこまで勇気はなかった。
そのうちにすっかり鳳樂ワールドに包み込まれ、終わったらもう17時半頃でした。
こうやって考えると、落語とは何ともアメーバのような芸能ですね。どんなジャンルの芸能とも接点を持つことが出来るのです。それが西洋音楽やジャズであっても然り。
そして落語を入口として接点を持つ他の芸能が素直に体の中に入ってきます。
歌舞伎、能狂言、そして今回の日本舞踊、新内小唄。みんな素直に楽しめるのです。
そしてお江戸からやがてその興味は上方へ。さらに全国へ。時代も江戸時代から神代の時代まで。
そして言葉の壁を越えて世界へ、そして宇宙へ。。。
興味津々、知りたいことが次々増えている今日この頃です。
鷲
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